太宰府市の「カンボジアを訪れる会」(前田和美会長、10人)が、このほどカンボジアのプルサト州スワイスー村を訪れ、井戸を掘りプレゼントした。会と親交のあった留学生がプノンペンで開いた結婚式に参加し、そのお祝いで井戸を贈った。井戸を前に、村人たち約40人は小躍りして喜んだという。
前田さんらは2年前、太宰府市でカンボジアサーカスを開いた。その時、九大に留学していたディップ・キムサンさん(30)ら7人が通訳などで協力した。それが縁で、同市五条振興会30周年記念事業のフェスティバルにも留学生が模擬店を出店するなどして交流が続いた。
その後、ディップさんが日本人女性とカンボジアで結婚式をすることになり、12~17日の日程でカンボジアを訪問、式に参加した。また、ディップさんから「井戸がなく生活が厳しい所が多い」と聞き、友人の紹介でスワイスー村に井戸を掘ってプレゼントした。
村は首都・プノンペンから北へ約150キロの場所にある。人口は約120人で主に農業で生計を立てている。前田さんらによると、近くに川がないため、道路脇のたまり水を家庭のつぼに移して、上澄みを飲むほど不便な地域だったという。
井戸は父親が地雷を踏んで両足がない家族の庭に掘られた。円筒のコンクリートの輪を積み重ね、ひもにバケツをつるし、くみ上げる方式。費用は水質検査費用を含めて約4万5000円だった。
井戸には「太宰府の泉」のプレートを張った。一方、太宰府天満宮やJA筑紫などから寄託された鉛筆やせっけん、タオルなどをプレゼントした。モック・コー村長は「水は野菜作りにも役立ち感謝している」と話し、村人たちも握手で喜びを伝えた。
結婚式の披露宴は、メンバーが和服を持ち込み新婦の髪を結い、着付けを施した。式に訪れた人は日本式の衣装に驚きの声が上がり盛り上がったという。前田会長は「別の村にも井戸のプレゼントは続けていきたい」と話している。
現地の様子などを撮影した写真展を3月28~31日に市情報センター▽4月2~9日に太宰府館で開く。入場無料。【川上敏文】